鬼平犯科帳(十)の説明ページ

相模の彦十の様子がこのごろ何となくおかしい。
むかしとった杵柄というやつかもしれぬ。
いまはお上の御用ではたらく身ながら、人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだ。
鬼の平蔵、自分でさえ、妻を捨てお上の御用を捨て、岡場所の女と駆け落ちをするかも知れぬ、という。
彦十をみはる平蔵、密偵たちの活躍を描く「むかしなじみ」他、「犬神の権三」「蛙の長助」「追跡」「五月雨坊主」「消えた男」「お熊と茂平」の七篇を収録。
鬼の平蔵のもとで働くのは勇猛な者ばかりではない。
勘定掛としてはまことに有能な川村弥助は、小心で地震が大の苦手。
しかし愛する妻をさらわれた時、この臆病者は変貌した――鬼平の部下への思いやりが光る「泣き味噌屋」。
木村忠吾が男色の侍にさらわれ危機一髪!の「男色一本饂飩」。
長谷川平蔵が長谷川平蔵に闇討ちされる? 奇想天外な「土蜘蛛の金五郎」。
盗んだ金を元に返した老盗人の名人芸「穴」。
他に「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」と七篇を収録。
若き日、平蔵と左馬之助は高杉銀平道場の竜虎といわれ、もう一人又兵衛を加えて三羽烏とも呼ばれたものだった。
それから幾星霜…盗賊となった又兵衛、火盗改方の長官・鬼の平蔵、二十数年ぶりの凄絶な対決を描く「高杉道場・三羽烏」。
彦十に五郎蔵、粂八の元・本格盗めの男たち、いまはお上の手先だが興が乗り、<昔とった杵柄>に話がまとまってしまう「密偵たちの宴」。
ほか「いろおとこ」「見張りの見張り」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」の七篇を収録。
盗賊にも守るべきモラルがある。
盗まれて難儀をする貧しいものに手を出さぬこと、人を殺傷せぬこと、盗みに入った先で女を手ごめにせぬこと。
この三カ条を守らない盗賊を畜生盗(づと)めという。
さて、本巻の「一本眉」では掟を守りぬく真の盗賊が、畜生盗めの一味を成敗する痛快譚。
その他に、平蔵が盗賊のお頭に変身? お忍びの湯治先で一行が出会った事件「熱海みやげの宝物」と「殺しの波紋」「夜針の音松」「墨つぼの孫八」「春雪」の計六篇を収録。
鬼平犯科帳が、時代を超えて現代人の心を強く捉えるのは、部下を束ねる平蔵の“リーダーシップの見事さ”にある。
部下を思いやる心の篤さ、だからこそ部下も我を忘れて働く……名管理職・平蔵の真骨頂を描く「五月闇」のほか、お頭へ盗賊を周旋する口合人(くちあいにん)と平蔵のかけひきが愉快な「殿さま栄五郎」、兎忠こと木村忠吾が久しぶりに活躍する「さむらい松五郎」、そのほか「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「浮世の顔」の全六篇を収録。
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